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【埼玉の社長に訊く起業ストーリー】はシェアオフィス6Fのスタッフが埼玉県内で活躍する「社長」を訪ね、お話を伺う連載です。


今回お話をうかがったのは「株式会社UNITE(ユナイト)」の代表取締役社長・鹿野徹さん。2015年の会社設立以来、システムエンジニアリングサービス、受託開発、教育事業、自社サービス展開と事業の裾野を広げ続ける、IT業界の若き旗手です。
株式会社UNITE 代表取締役社長 鹿野徹さん

 

埼玉県さいたま市出身、新卒でSEとして就職

鹿野さんは埼玉県さいたま市北区生まれ。地元の開智高校を卒業後、東洋大学経済学部へ進学。大学在学中にアルバイト先の学習塾でPC作業も担当したことから、SE(システムエンジニア)に希望職種を絞って就職活動をしたそうです。

 

アルバイト時代に作っていたものは、もちろん全然システムでは無かったのですが、コードを打って罫線を整えたりとか、そういう作業が自分に合っているなと感じたんです。なので、SEとして働ける会社に絞って就職活動をしました。SEになろうと思ったのは、営業をしたくなかったという理由もあります。自分は営業をするよりも、ものづくりの方が向いていると思っていました。

 

希望が叶い、大学卒業後は都内のシステム会社へ就職。その後別の会社への転職を経て、順調にSEとしてのキャリアを重ねます。

 

不満だったら、自分でやった方がいい

株式会社UNITE 代表取締役社長 鹿野徹さん

起業の転機となったのは、2社目の会社で参画したプロジェクトでした。
 

その時はシステムエンジニアリングサービス(SES)といって、お客様の会社に常駐する形で仕事をしていました。そのプロジェクトのマネージャーが、今のUNITEの親会社の社長。プロジェクトを抜ける時にその社長から「会社を作らないか」と話をもらったんです。それまでは起業することなんて全く考えていませんでした。

話を持ち掛けてくれた社長とは、何度も飲みながら話をしました。初めこそ起業する気はありませんでしたが、もともと会社に不満タラタラで「なんでこんなことしなきゃいけないんだろう」と思いながら仕事をするような会社員だったので、だったら自分で会社を立ち上げてやった方がいいのかな、と考えるようになり、起業準備を始めたんです。

 

コワーキングスペースを拠点に

そして2015年3月に、株式会社UNITEを設立。

株式会社UNITE 代表取締役社長 鹿野徹さん

コワーキングスペース7Fにて

 

会社を作ったからにはいろいろやりたいことはありますが、やりたいことをやるためにはどうしてもお金が必要なので、まずは自分がよく知っていて安定して稼ぐことのできる常駐型のSESから始めました。

 

そんな鹿野さんが会社設立時に拠点として選んだのは、さいたま市大宮区のシェアオフィス6Fに併設するコワーキングスペース7F。コワーキングスペースとは、オープンな作業スペースを共有しながら、利用者がそれぞれ独立した仕事を行う空間のことです。
 

事務所をどうしようかなと考えていた時に、コワーキングスペース7Fを知りました。もともと外で事務所を借りる予定は昔も今も無くて、だからコワーキングスペースで十分だったんです。

正直なところ、この業界で事務所を構える意味がよくわからなくて。今は集まって仕事をすることがそれほど重要ではない時代だと思っています。特にSESでお客様のところに常駐していると、仕事の後で会社に帰社するかどうかって好き嫌いが分かれるんですよね。私も会社員時代、帰社日は「なんで仕事が終わった後に会社に戻らないといけないんだろう」って嫌でした。だからUNITEではやめよう!と考えて、帰社日は無くして、会社に集まらないで済むようにしています。

 

徹底したクラウド化

株式会社UNITE 代表取締役社長 鹿野徹さん
起業当時から「集まらなくても仕事ができる」ことを念頭に置いていたという鹿野さん。そのために工夫していることをうかがうと、「完全クラウド化」という答えが返ってきました。

 

UNITEではAWS(アマゾンウェブサービス、Amazon.comが提供するクラウドコンピューティングサービス)のクラウドサーバーを使っているので、パソコンとネット環境があればどこでも開発ができるんです。開発環境から本番環境、ファイルサーバー等、全てクラウドで構築しています。

 

現在はサーバーだけでなくOSもクラウド化しているそうです。

 

AWS上に仮想OSがあり、そこにアクセスして作業するので、通信環境さえ良ければスペックの高いパソコンはもういらないんです。仮想OSを動かすのに必要最低限のスペックを備えた安価なPCで済んでしまいます。

また、OSが端末に入っていると開発環境を整えるのも大変なのですが、クラウド上ならコピーが簡単なので、新しいスタッフが入ってきても、既存スタッフと同じ開発環境を短時間で作ることができます。

 

どの端末からでも同じ環境にアクセスすることができ、場所を選ばない開発を可能にするクラウド化。更に、クラウド上にOSがあれば「MacのパソコンにWindowsを入れたい」という際にインストール不要で利用することができたり、短時間の利用なら時間に応じて課金するプランでコストが低く済むなど、多くのメリットがあります。

ただ、実践している企業はまだ少ないそうです。

 

この業界で他に完全クラウド化している会社って、私はまだあまり聞いたことがないですね。大きい会社だと難しいのかもしれないですが、人の入れ替わりが激しい大きな会社こそクラウド化するべきだと個人的には思っています。古いやり方でもいいですけど、開発環境作るのに2、3日かかることを考えると、クラウド化して複製すればそんなに時間かからないのにな、って思っちゃいますね。

 

社内勉強会は「禁止」

株式会社UNITE 代表取締役社長 鹿野徹さん
「うちの会社は反面教師でできています」と話す鹿野さん。自身の会社員時代に疑問だったこと・不満に思っていたことは、UNITEではしない、という方針でルール作りをしているそうです。そのルールの一つが「社内勉強会禁止」。

 

うちの会社では、社内の自主的な勉強会は禁止。やりたい場合はプライベートでやってね、と言っています。理由は、「自由参加」と言っても強制的な雰囲気になってしまうものがあるので、だったら禁止にした方が確実だと思っているからです。プライベートはプライベートで自由に過ごしてリフレッシュして、仕事はやるときにやったらいい。以前私が勤めていた会社でも、表向きは「自由参加で評価には関係しない」と言われる勉強会がありました。でも勉強会を主催する側は参加してほしいから、飲み会で新人の隣に座って直接「来てくれるよね?」って誘ったりする。そんなこと言われたら実質的にほぼ強制じゃないですか。それは良くないよねって思っていました。

勉強会を禁止する代わりに、社員は業務の中で成長できるようにしています。新しい業務にチャレンジさせたり、持ち帰った案件の担当者を社内で公募したり。もちろん仕事なので、ちゃんとやったらやったでその分の成果もお金として入ります。あとは、Slack(スラック、チャットツール)で「AWSで新しくこういうサービスが出ましたよ」とか、そういう最新情報を社員に適宜共有するようにしています。そうすると、興味のある人は勝手に新しいことをやってみるんですよね。

勉強会を禁止しても、興味のある人は勝手に成長するんです。興味の無い人を勉強会に参加させても成長しないと思っています。

 

もう一つ、給与制度も、自身の会社員時代に疑問だったことを反面教師にしていると言います。

 

うちの給与は全部「基本給」です。例えば住宅手当をつけるとか、職能給にするっていうことは、基本的には考えていません。例えば、基本給が15万円で、職能給が5万円、住宅手当5万円、合計25万円の給料が出る会社があるとします。住宅手当までついて福利厚生が充実しているなという印象を受けるかもしれません。でもフタを開けてみると、残業代は基本給の15万円をもとに計算されるんです。だから時給にしたら低いですよね。また、賞与が2か月分出ると言われたら「おっ、25万円×2で、50万円出るのかな」と思うかもしれませんが、実際に支給されるのは基本給の2か月分なので30万円です。

僕もこの立場になるまで知らなかったんですけど、こういうのって従業員からしたら「だまされた!」と思ってしまうかもしれませんよね。だからうちは全て基本給なんです。

福利厚生として用意しているのは、年に1度の社員旅行と忘年会くらいですね。社員旅行は温泉に入るのが気持ちいい季節を選んで企画しています(笑)。

 

役職をつけないことも、鹿野さんのこだわりだそう。

 

UNITEではこの先も、役職はつけないつもりです。私が目指しているのは「踊る大捜査線」の最後の映画(2012年公開の『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』)の、縦割りじゃなくて横割りの組織です。個人が自分の裁量で動けることを重視しているので、役職に対して何か手当をつける、っていうことはないんです。どうしても役職をつけたいんだったらファイナルファンタジーのジョブとかドラクエの職業から好きなの付けてもいいよ、とは言っています(笑)。「バーサーカーの役職は誰にする?」とかね(笑)。

 

BI(ビジネスインテリジェンス)に強み

株式会社UNITE 代表取締役社長 鹿野徹さん
SESから事業を始めたUNITEは、ここ2年ほどで受託開発の依頼も増え、徐々に業務の幅を広げているそう。

UNITEが強みとするのは、企業向けの業務システム開発。特に、企業が蓄積しているデータを分析・加工する「BI(ビジネスインテリジェンス)」分野を得意としています。

 

開発依頼はグループ会社の営業経由で私たちの会社に話が来ます。あとは、SESの現場から「こういうものを作ってくれないか」と話が来ることが多いですね。UNITEは作ることに特化しているので、営業はしていません。

 

営業せずとも開発を任される理由は、新しい会社ならではの差別化戦略にあるといいます。

 

最近需要が増えているのが、Tableau(タブロー、様々なデータをビジュアル化するためのソフトウェア)を使ったBIツールの開発です。でもTableauって、開発できるところが少ないんです。大きな会社では対応できないような開発言語や環境で開発できることが、私たちの会社の強みになっています。

最初に開発言語などを指定してくるお客様の中には、社内でよく使っているからという理由で指定する方も多いんです。でも、他の開発言語を採用した方がメリットのある場合も多い。例えば、他の開発言語にした方が開発工数が削減できてコストが下がる場合は、それをお客様にも説明して納得していただいたうえで、最適な選択をするようにしています。

 

こうした強みと開発現場で培った関係が、「ここに話を持っていけば大丈夫」という信頼につながっているのだそうです。

 

今後は埼玉で自社サービスを

受託開発の依頼が増えたことに伴い、2018年には鹿野さんの自宅内に事務所も設立しました。

 

社内で受託開発の仕事をする社員が増えたので、毎日コワーキングスペースに5~6人でぞろぞろ来るのもあれだな~と思って、とはいえ外に事務所を構えるつもりはなくて。私の子どもが小さいうちに家を建てることにしたので、どうせなら1階を事務所にしちゃおう、と、自宅内に作りました。子どもは今年から幼稚園です。超絶かわいいです(笑)。

 

SESから受託開発に幅を広げたことで、より新しいことができるようになったと言います。

 

SESって、あまり新しいことはやらせてもらえないんです。大きな会社はリスクをとても嫌がるので、「今あるものを使う」ということ以外はほとんどやらせてもらえず、既存システムの改修やメンテナンスをしていました。新しく何か作るとしても、既にあるシステムと同じような作りにすることが大前提。新しいことができるようになったのは、受託開発をやるようになってからですね。

 

今年からはさらに、自社サービスの立ち上げを考えているそうです。

 

今年くらいから自社サービスを徐々に立ち上げていこうと思っています。あとは、小学生向けのプログラミングスクールも今年からやろうと思っています。これは、やりたいという社員がいたので、じゃあやろう!と。

うちの会社は埼玉で起業して、東京の会社よりも規模が小さい分、機動力があります。やる・やらないの判断って、会社の規模が大きくなるほど「やらない」という選択が多くなると思うんです。ちょっとしたことから始められるっていうのは、小さな会社の特権ではあるかなと思いますね。

 

自らを「地元大好き人間です」と笑顔で称する鹿野さんは、「埼玉に関係する何かを作りたい」という思いもあるそう。
 

今後は、他の会社とお互いの得意分野を生かして、埼玉を絡めた何かをやっていきたいなと思っています。うちはAR(拡張現実)も技術的に開発が可能なので、たとえばARを使った地域活性化とか、そういうことをやっていきたいですね。

 

株式会社UNITE鹿野徹さんとシェアオフィス6Fスタッフ

営業はせず「つくること」に特化しながら、確かな仕事ぶりで顧客の信頼を得て成長してきた株式会社UNITE。お話をうかがい、鹿野さんの気負わず柔軟ながら信念のある采配が、その成長を支えているのだと感じました。

UNITEが埼玉からどんな新しいサービスを生み出すのか、とても楽しみです。鹿野さん、お時間をいただきありがとうございました!

株式会社UNITE

 

株式会社UNITE 代表取締役社長 鹿野徹さん

株式会社UNITE鹿野徹さん1986年5月生まれ。さいたま市出身。開智高等学校から東洋大学経済学部へ進学、卒業後に東京都内のシステム会社へシステムエンジニアとして就職。2015年3月株式会社UNITE設立。さいたま市大宮区のコワーキングスペース7Fを拠点に、企業向けの業務システムをはじめ、Webサイトやアプリケーションの開発、教育事業などを手掛ける。2018年、上尾市の自宅内に事務所を設立。プライベートでは地元・埼玉が大好きな、1児の父。


この記事を書いた人

2017年6月から株式会社コミュニティコムのスタッフとして、貸会議室/シェアオフィス6F・コワーキングスペース7F・大宮経済新聞のライターなどをしています。一児の母で、フリーランスでプロジェクトマネジメントの仕事もしています。ガラケー向け着メロサイトのディレクターをしていた経験もあり、当時スポーツ系の楽曲を扱っていたので、高校野球の応援に使われている曲名がだいたいわかります。趣味はラジオを聴くこと。好きな食べ物はおもち、好きな飲み物はすっぱいビール。



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