【埼玉の社長に訊く起業ストーリー】はシェアオフィス6Fのスタッフが埼玉県内で活躍する「社長」を訪ね、お話を伺う連載です。
記念すべき第1回の「社長」は、NPO法人クッキープロジェクト代表理事の若尾明子さん。NPO法人クッキープロジェクトの事務所がある、福祉作業所のひとつ「お菓子工房coco」にお邪魔しお話を伺いました。
NPO法人クッキープロジェクトは、
・障がい者が働く福祉作業所で作られるクッキーやお菓子の品質を向上させるための商品開発講座「PR塾」の運営・開催
・商品の販路拡大のため年一回浦和コルソでクッキーの販売会の開催
・障がい者の社会参加の機会として「デコッパ卓球選手権」の運営・開催
などを主な事業として行っています。
親しみやすくさっぱりとした笑顔の若尾さん、誰にでもフラットに接する姿はNPOの活動にしっくりはまっているように見えますが、初めからNPOにいた訳ではないといいます。
「私が関わり始めたころのクッキーは、正直、すごく美味しいと言えるものではありませんでした。パサパサだったり、味もいまひとつ。それでも値段も一袋50円と格安で、障がい者の家族や知り合いなどが支援のため買っていたことも多いと思います」と若尾さんは振り返ります。
それを続けていても、売り上げは伸びず、障がい者の働く場所や機会は増えていかないと思った若尾さんは「一般の人にも美味しそう、可愛いから買いたいと思ってもらえるクッキー作りを目指さなければならない」と立ち上がりました。
助成金の申請などで面識のあった行政の担当者に相談に行き、同じように企業として福祉に貢献できることはないかと模索していたパレスホテル大宮の毛塚智之シェフと出会います。福祉作業所で作るクッキーを「主に知人や家族が買っていた」ものから「一般に売れる」商品に改良。一流のシェフとの協働は、プロジェクトの大きな力となりました。
商品が良くなっても売る場所がなければ意味がありません。オフィスやお店の隅に「置きクッキー」として委託販売をするほか、浦和コルソで年1回「クッキーバザール」を開催しています。県内の作業所が作るクッキーを50種類以上販売。
初めこそ本当に売れるだろうか、、と心配したものの毎回売り切れも続出。今では2日間で100万円以上の売り上げとなりました。商品が売れることによって、作業者や施設のスタッフのモチベーションもあがっていきます。
ハンズオン埼玉のスタッフとして他の業務もこなしながら、クッキープロジェクトの活動が若尾さんにとって大きな存在となっていきました。そして、2010年8月に任意団体クッキープロジェクトとしてハンズオン埼玉から独立。2016年6月にNPO法人クッキープロジェクトとなります。
「おかし屋マーブル」の「マーブル」の意味は「まぜこぜ」。障がいのある人もない人も、会社員も学生もフリーターも、大人も子どもも、いろんな人が「まぜこぜ」になって暮らす社会が自然で面白い。そんな社会になってほしい。それがクッキープロジェクトの願いであり目指すところです。
クッキープロジェクトの事務所に隣接する作業所「お菓子工房coco」では、数人が慣れた様子で作業していています。障がいの種類や程度にもよるかもしれませんが、丁寧な作業で、自然なコミュニケーションを取りながら進めています。
ちなみに弊社コミュニティコムが運営するコワーキングスペース7Fにも「置きクッキー」があり、毎回入荷するたびに、あっという間になくなる人気のお菓子です。
NPO法人クッキープロジェクト
NPO法人クッキープロジェクト 代表理事。日本女子大学家政学部家政経済学科在学中に、ボランティアや高齢者福祉に関わる。一般企業に就職後、さいたまNPOセンターに転職、介護保険サポーター事業を担当。その後、中間支援のNPO法人ハンズオン埼玉の理事・事務局長を務め、2007年10月にクッキープロジェクトを立ち上げ。2010年8月に任意団体クッキープロジェクトとしてハンズオン埼玉から独立。2016年6月にNPO法人化。NPO法人クッキープロジェクトの代表理事を務める。
株式会社コミュニティコム社員で、主にライター担当。大宮経済新聞副編集長や教育講座事業の「チエモ」など担当しています。エジプト2年、フランス7年、ハンガリー2年住んでいました。フランス語は何となく覚えていますが、アラビア語とハンガリー語は忘却の彼方です。一般社団法人さいたま市地域活性化協議会・理事。埼玉新聞タウン記者。
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