こんにちは。シェアオフィス6Fの星野邦敏です。
先日に、「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか(中島聡・著)」を読み終えました。
Facebookのタイムラインに流れてきて、何気なく買ってみて読んだのですが、とても刺激になりました。
著者の中島聡(なかじまさとし)さんは、学生時代にCADソフト「CANDY」を開発してロイヤリティで1億円を得たり、NTTから当時のマイクロソフト日本法人に転職して、その後にマイクロソフト米国法人に移って、Windows95のOS開発に携わった人です。現在の「右クリック」や「ドラッグ&ドロップ」の概念を作った人とも。
中島聡の記事一覧 – BLOGOS
Life is beautiful
なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である
内容紹介
世界を変えたのは「締め切りを守る男」だった
【世界を一変させたWindows95の設計思想を生み出した伝説の日本人が教える人生を制するスピード仕事術】本書の著者、中島聡氏は、みなさんが今使っているパソコンの「ドラッグ&ドロップ」や「ダブルクリック」などを現在の形にしたことで知られる元マイクロソフトの伝説のプログラマーです。
過労死が続出するほど多忙を極め、納期遅れが蔓延するプログラマーの世界で、中島氏は「一度も納期に遅れたことがない男」として活躍。
「期限までの日数の2割で、仕事の8割を終えて後は流す」
その驚異の仕事術は、「小学4年生から、夏休みの宿題は7月中に終わらせて、あとは好きなことをしていた」というところからスタートしたのです。・午前中だけで1日の仕事をほぼ終えられる
・半年以上の長期プロジェクトを最も効率的に進められる
・締め切りギリギリになって「終わりません」と言わずにすむ
・メールを返信すべき本当の時間がわかる
・徹夜ナシ、残業ナシで、能力の高い人に勝てるこんな一生ものの仕事術を、ぜひ身につけてみませんか?
ーあなたの人生を、楽しい仕事でいっぱいにするために。
本書は、そんな本質的なメッセージに裏打ちされたあなたの仕事をよりクリエイティブにするための「スピード術」なのです。
「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか(中島聡・著)」の感想としましては、一言で表すと「仕事に対する時間の使い方の本」ということです。
第2回 「締め切りは絶対に守るもの」と考えると世界が変わる:Software is Beautiful|gihyo.jp … 技術評論社
という記事を寄稿したことが、この本のベースになっているそうです。
(1)「ロケットスタート時間術」
1つの仕事を始めたら、初めの数日で全力を出して、そこで全体感を掴むと同時に、取引相手または上司に、スケジュール感を見せる。
私も今はコワーキングスペースや貸会議室やシェアオフィスの運営もしていますが、もともとはIT事業で起業をスタートをしていまして、本の初めに書かれている物語は、ITやエンジニアあるあるだなと思いました。どうしても後ろ後ろになりがちで、初速で8割方の工程を終わらせてしまう、というのは、なるほど、その通りだなと思いました。
また、日本では「なるはや(=なるべく早く)」という言葉がありますが、アメリカでは期日がしっかりと決められていると。当たり前のようにも思いますが、やはり締切意識は大切だと改めて思いました。
安請け合いをしてしまう、ギリギリまでやらない、計画の見積もりをしない、というのも、良くないことであり、まずは全体感を掴むために、荒くても一通りまずは終わらせてみる、というのも理に適っていると思いました。
例として、
10日で行う仕事があったとして、
(1)まずはどれくらいの工数が掛かるのか、スケジュールの割り出しに2日使う(見積もりをするための調査期間をもらう)
(2)その2日を「ロケットスタート期間」として「ほぼ完成」まで持っていく
(3)この2日で「ほぼ完成」まで持っていけなかった場合には、危機的な状況と認識してスケジュールの見直しを交渉する
とまで書かれています。
ここで、初めの2日をロケットスタート期間として8割方終わらせて、残りの8日を「流し」の期間として余裕を持って残りの2割を終わらせる、とすることで、仕事を常に安定して続けることができるとしています。いつも全力を出していると、真の実力が発揮できないとしています。
この2日間のことを、漫画のドラゴンボールの「界王拳」になぞって集中力を出すと表現しています。界王拳の状態を常に作ることは難しいので、初速で界王拳を出す、ということでした。
ロケットスタート時間術の本質が、余裕を持つことで、高速で次々と仕事を終らせることではない、という考えが興味深い点だと思いました。
1日単位でも、朝4時起床で早朝からスタートダッシュをして、午後を流す、という生活をしているそうです。
家族が起きてくるまでの時間という外的要因で締め切りを作れる、朝はメールチェックや話し掛けてくる人がいない、などから朝の効率性を書かれています。集中力が分断された3時間と分断されない1時間は、同じくらいの仕事効率がある、としています。この点は確かにその通りであって、文章を書く時やWeb制作などでも同じような感覚の印象を個人的には持っています。
また、夜に寝る前に5分程度の時間でも、明日やることのタスクリストを必ず作って、仕事を分割して手順を視覚化すると効率が違ってくるとしています。
逆に、1年以上掛かる長期プロジェクトの場合は、仕事を縦に切って、それぞれの仕事の単位に分けて、最小単位を10日〜2週間の期間の仕事の単位で、初速を発揮する、ということを書かれています。本の執筆の場合は、原稿の執筆、その修正、著者と編集者のチェック、として分けています。
また、複数の仕事が平行するときは、1日を横に切り分けて、その際もそれぞれの仕事の単位で、初速を発揮する、ということを書かれています。
Windows95が発売された時、クリティカル(=重要)ではないバグが3,500個あったそうです。それでも、それらを修正してから発売してはタイミングを逸してしまうかもしれないし、いつまでも発売できない。
孫子の兵法で「兵は拙速を尊ぶ(へいはせっそくをとうとぶ)」という言葉があり、「拙い戦いで早い方が上手くいく」ということですが、それに通じるところがありますね。本の中では、「石膏像を彫るとき、眉毛から始める人はいない」と表現されています。
今ですと、スマートフォンアプリの開発やWebサービスなどもそうですが、公開後にアップデートを掛けることも多くあると思います。プログラムに限らず、初めから完璧ということは少なく、「すべての仕事は必ずやり直しになる」と書かれています。
特に、Webサービスなどは、まずは作ってみる、ということをしますと、意外に反響があったりマネタイズができて、それがキッカケで出会いが増えたり起業に至ったりで、未来を変えることもあるかと思います。
・リスクを測定できる
・目に見える形のもの(プロトタイプ)を素早く作ることができる
・誤差に対応できる
といことが大切で、時間に余裕を持つために、何事も前倒しに進めていく、ということが色々な事例や方法を取り上げて書かれていました。
本の中でも、「常に締め切りを守ること」「常に締め切りを守れるような仕事の仕方をすること」をきちんとできている人は、100人に1人もいなかった、ということが書かれています。
・すべての仕事をスタートダッシュでこなして、絶対に終えられる納期を導き出す
・最初の2割の期間を「見積もり期間」としてもらい、実際には、仕事量の8割を終える
・最初の2割の期間で8割の仕事ができなかったら、期限を延ばしてもらう
・「仮眠を取る」と「マルチタスクをやめる」で、仕事の効率を上げる
というのが、ロケットスタート時間術のまとめとしています。
(2)仕事の本質
仕事の本質として、以下の例を出しています。
たとえばあるパーティーがあるときに、ビル・ゲイツがあなたに花を用意してほしいと頼んだとします。あなたは花屋に電話をし、パーティー会場に花束を届けるように注文します。しかしパーティー当日、花屋から、雪のせいで配達が遅れるという電話が来ます。あなたは花が遅れるという旨をビル・ゲイツに伝えます。
こういうとき、彼は尋常じゃないほど怒ります。その怒りは、人が変わったのではないかと思うほどです。それだけ締め切りまでに仕事を終えることを重視しているのです。
あなたが命じられた任務はパーティーに花を用意することであり、花屋に注文することではありません。注文をするだけなら誰にでもできます。あなたは花を用意するために雇われているのです。であれば、いかなる理由があっても花を用意することができなかったのは100%あなたの怠慢であり、責任を負うべきだというのです。
ですから、もし花屋が雪の影響で配達が遅れるというならば、あなたはなんとしてでも花をパーティー会場に用意するための手段を考えなければいけません。車で近くの花屋まで行くとか、ほかの花屋に至急注文をするとか、そういった第二第三の案をただちに遂行しなければなりません。
あなたの任務は花を用意することです。花さえ用意できれば、パーティー会場の裏で昼寝をしていてもいいのです。だからこそ花は絶対に用意しなければならない。花屋に注文することは任務の一部でしかありません。言い訳をする人はそこを勘違いしています。
他の人の仕事が遅れている場合、エンジニアであったら、その人の仕事に合わせるのではなくて、自分が進めるためにモックアップを作って、形を見せてしまう、というのも、仕事を終らせるという認識としてなるほどなと思いました。
相手が仕事を終わらせないことと、あなたの仕事が進められないことは、厳密に考えると別問題です。
相手が遅れたからといって、現時点での自分の仕事の納期に少しの余裕を持てたことを喜んではいけません。なぜなら次の仕事の着手に遅れることで、将来のあなたがスラックを失ってしまうからです。
と書かれていることも印象的でした。
好きなことを仕事にすると集中力は自然に発揮されるはずで絞り出すものではない。何かを成し遂げたり幸せな人生を手に入れたりするには、好きなことに向き合い続けること以外に方法はない。としているのも、起業している人ならではの発想だなと思いました。
その人たちがやり続けることができたかと言うと、それはその人たちがそれをやりたかったからです。お金目的の人たちが集まると、お金儲けでやるから、やり始めて「意外と儲からないな」と思った瞬間に人がちょっとづつ抜けていくようになります。全員がくじけないかもしれないけれど、やっぱり人は辞めていきます。でも、こんなことを実現したい、という思いで人が集まると、そこに向かって走り続けられるのだと気づいたのです。
とも書いています。
「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」というアラン・ケイの言葉を引用して、現状に満足するのではなくて、新しいことに取り組むことの大切さも語っています。
今は私の会社でもスタッフが増えてきていて、仕事の仕方について考えることも増えてきまして、そのタイミングだったこともありまして、私個人的にはとても刺激になる本でした。
なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である
なお、シェアオフィス6F&コワーキングスペース7Fには、「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか(中島聡・著)」も本棚に置いてありまして、利用者さんは自由に読めますし、月額会員さんには貸出も行っています。
コワーキングスペース7F – リブライズ
もしご興味がありましたら、ぜひご覧ください!
シェアオフィス6Fの運営代表者です。6Fの運営会社である株式会社コミュニティコムの代表取締役でもあります。コワーキングスペース7Fを2012年12月から運営していまして、下フロアが空いたことからフロア増床する形で2016年3月からシェアオフィス6Fと貸会議室6Fがオープンしました。ITから起業していることもあり、趣味は自分の思い付いたWebサービスを自分で自由に開発することです。
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